山陽日日新聞ロゴ 2004年6月27日(日)
玄人はだし
 手づくりで御輿を新調
  一宮神社青年部が1年掛かりで
御輿力を合わせて制作
 奇祭で知られる東土堂町、吉備津彦神社(平田八
千枝宮司)のベッチヤー祭りの御輿が青年部の丹精
込めた手作りで134年振りに新調され、今年11
月の祭りでお披露目される。
 明治3年に誂えられた御輿は痛みが激しく、一宮
神社青年部(長尾健部長)が素人ながら自分達の手
で再生しようと一昨年春、まず台座を改修、その年
の11月1日から3日のベッチヤー祭りで披露され
た=写真左=。
 台座の再生で腕に自信を深めた青年部30人は屋根
と胴の新調も自分達の手でと藤原俊之総代長に申し
入れたところ心良く承諾。昨年7月から東尾道、中
川硝子店作業場で仕事を終えたのち、ほとんど毎日、
三三五五集まり、御輿作りに精を出し=写真右=、
午前様になることもしぱしぱ。
 胴と屋根の本体は檜、強度の要するところは樫の
木を使い、一番苦労したのは木彫りの飾りで鳳凰、
麟麟、獅子など36体、拡大写真を見ながら細かいと
こまで彫り上げ、1つ彫り物を作るのに1か月かか
った。
 木を削るにも道具がなく、百円ショップに行き調
達。見よう見まね、皆んなで知恵を出し合い創意工
夫しながら形づくっていった。
 胴と屋根の部分がほぽ出来上がり、京都の御輿製
造の専門業者を呼び見てもらったところ「よく出来
ています」と感心していたという。
 重さ300kgある御輿を新調すると1200万円
程度かかり、それを青年部が手作りで1年で作った。
今月20日から8月いっぱい、芦品郡新市町の業者に
引き渡し、漆塗り。9月から金物装具を取り付け、
11月のベッチヤー祭りで華麗に蘇った御輿を披露す
る。
 青年部長の長尾健さんは「30人のメンバーの気持
ちがひとつになり、御輿が出来ました。自分達で作
ったという喜びでいっぱいです。子どもや孫の代ま
で使ってもらえます」と新調した御輿を満足そうに
見つめていた。



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