山陽日日新聞ロゴ 2004年6月20日(日)
「中電」が大挙応援
ふるさとの文化財は自分たちの手で守ろうと
 番所保存会 ネーム入りシートを
  若者ら総勢30人がボランティアで
作業にあたる人々
 ふるさとの文化財はまず自分達の手で守ろう−と
19日、尾道市久保町と高須町の境界にある番所跡
の屋根のシート替えに、30人近い人がボランティ
アで駆け付け心地よい奉仕の汗を流した。
 尾道番所保存会(阿草孝会長)の呼び掛けに応じ
たもので、中国電力尾道電力所から課長以下15人
が保存会の要請に応じたほか、本紙に最近登場して
いる広大大学院の八幡浩二さんと林良司さんら若者
が5人、地元の高垣等・山中善和の両市議に保存会
のメンバーら合計30人が参集した。
 午前8時半から、番所下の広場で阿草会長がお礼
を述べた後、番所所有者の岩田当主が挨拶。阿草さ
んがシートの張り替え作業の手順を説明した。
 傷みが激しくなった従来のブルー色のシートはそ
のまま残し、その上に「番所保存会」のネームが入
った白色のシートを新しくかける。横幅が屋根幅よ
り1m広い18m、奥行きが7.6mで重さが80
キロもある。
 中国電力の社員たちを中心に3人、5人と大屋根
に上がり、開始後1時間もたたないうちに新しいシ
ートに掛け替えた。
 たちまち、接近中の台風や梅雨の大雨からの防御
体制は出来たものの、当初の保存の目的に向かって
は、これからが保存会の仕事の本番になる。
 前回のシート掛けは保存会の人達5人が半日がか
りでやったのに対し、今回はプロの助っ人もあり、
あっという間に終わって「流石ですネ」と大喜びし
ていた。
 高垣市議は、福祉むらでも何かあると中電の方に
お願いしていると、これからの企業の在り方、地域
貢献のモデルケースとして高く評価していた。

徐々に『認知』が広がり
 「保存会」が一歩ずつ前進
 番所保存会はこれから、世界遺産推進課の文化財
係を窓口として、県史跡の指定をうけるべく申請手
続きをすることになる。
 平成13年7月17日の保存会の陳情に対し、亀
田市長は「ただ古いだけでは市民の理解は得られな
い。国や県が価値あるものと認め、市民的な盛り上
がりが必要」と答えていた。
 現在までに、町内会など15団体と263人の個
人から約170万円の寄付が寄せられている。
 近くに「番所農園」といった看板も掛けられてお
り、地域一帯で番所に対する認識が次第に広まりつ
つあり、保存会の取り組みが一歩ずつではあるが確
実に前進しているようだ。

転載責任者メモ:世界遺産なんて無理でしょ、町が汚いし、などと言う人には
        「だったら掃除からやれば」と言いたくなったりしますが、
        30人もの人が集まったニュースには尾道の明るい未来を感
        じます。企業ボランティアを偽善的、売名的などと言う人には
        理屈を言うだけで何もしない人の千倍いいでしょ、と言いたい
        ですね。良いことで名を売る企業が沢山出来たら、それだけで
        どれだけ人が助かることか。税金でやっても良いことを企業の
        負担でやる部分が出来たら、それは全ての納税者のためになり
        ます。


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