山陽日日新聞ロゴ 2003年11月14日(金)
福屋尾道店
先人の知恵生かし藍染め、べんがら染めも
 帆布製品、デパート進出
  新たにジャパンブラウン、柿渋染め
バッグなどの製品が並ぶ
 帆布を柿渋で染めたメイドイン・尾道が百貨店に進出−。
NPO法人(特定非営利活動法人)「工房おのみち帆布」
(木織雅子理事長)は13日から駅前、福屋尾道店に出店、
話題を呼んでいる。
 13日から1週間、1階ギフトコーナー西側の25平方のゲ
ストルームでデモンストレーション販売、その後はギフト
サロンで常時約50点を展示販売していく。
 福屋が地元商品ということで期待を込めゲストルームを
提供し、デモスト販売しているのは帆布を素材にしたカラ
フルな若者向きのパソコンケース(6000円)やランド
セル(同)のほか柿渋で染めたボストン型手提げ(2万円)、
大型バッグ(1万2000円)、ウエストポーチ(2500円)
など小物を含め約500点を展示。カラーの帆布の布地も
即売している。
 高級感あふれるデパートの雰囲気にマッチした柿渋染め
の帆布商品。柿渋は江戸時代、衣服を染めたり、和紙に塗
り渋紙を作り行李に張り、防水、防腐、防虫効果があり使
用されていた。
 帆布は綿糸、柿渋染め渋柿といずれも土から生まれ土に
帰るエコロジカルな天然素材。帆船の北前船が尾道に北海
道から昆布を運び、尾道からは柿渋と酢を運び、海のロマ
ンの物語もあった。
 渋柿は合併し尾道市になる御調町綾目産。柿渋染めは太
陽の光だけを使って塗っては干すという繰り返しで知的障
害者通所施設「あやめの里」の利用者が作業に当たってい
る。柿が獲れ水が澄み、キレイな綾目は柿渋染めに最適な
場という。
 染め物に柿渋が使われるのは日本だけで、その独特な色
は「ジャパン・ブラウン」と呼ぱれ、今、改めて評価され、
世界に広まっている。
 「江戸時代の先人の知恵を21世紀に復活、尾道ブランド
として発信していきたい。染色工房を作り、柿渋のほか藍
染め、べんがら染めと日本古来からの伝統の染め物も手掛
けていきたい」(木織理事長)と抱負を語っていた。
 帆布製品は福屋尾道店のほか市内ではグリーンヒルホテ
ル尾道、高原商店、アルカディア、山北。広島、三宮の東
急ハンズで常設販売、来年2月には広島ゆめプラザに出品
する。

転載責任者メモ:「尾道が江戸時代よりずっと前から商業を中心にした港町で、帆布製造は
        尾道の産業で北前船に使われていた」といった歴史ウンチクも添えて
        お土産にすれば、それはもう「単なる物」ではなく立派な文化の使者。
        財布のような小物類は買いやすい値段で、しかも革製品などとはまた違った
        手の温もりのある高級感があります。私はブックカバーを愛用。丈夫です。
        東京でも着物の生地をパッチワークのように再利用した服や小物が若者に
        流行っていますから、日本の色への憧れに乗って良いタイミングかも。


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