山陽日日新聞ロゴ 2003年10月18日(土)
大林監督
 フレーム内と外で対話
  日本文芸大賞の特別賞で表彰を
賞状を受け取る監督
 (続報)日本文芸振興会(小松栄子会長)が、職業
作家に限定せずに広く文芸作品全般から選出する第21
回「日本文芸大賞」の授賞式が16日夜、東京池袋の
サンシャインシティ・プリンスホテルで開かれ、映画
作家大林宣彦監督(65)が特別賞で表彰された。
 選考委員の一人で作家の陽羅義光さんが「小松茂朗
前会長が、手作りの文芸賞を作りたいとの信念で私財
を投じて、情熱を傾けて25年。これにふさわしい顔
ぶれの方が選定された」と紹介。節目を記念して創設
された第1回小松茂朗賞に選ぱれた中国の思想家・孫
子の研究家、服部千春さんをはじめ各分野から9人が
表彰され、大林監督は小松会長から「あなたは映画界
はもとより、文芸界でも多大な実績をあげており、
『映画は言葉である』との信念と情熱を発信し続けて
います」と称えられ、表彰状と楯を手渡された(=写
真)。
 監督は「夢と思いに満ちた賞を頂き、嬉しくもあり、
身が引き締まる思い」と礼を述べ、「黒澤さん、小津
さんの時代には、映画監督は、言いたいことは映画の
中だけで語れぱよいのであって、他で喋ることは、は
したないことだと考えられていた。しかし今はNG特
集とか、映画作りのメイキングが1本の作品になった
りする。これが映画本体よりも面白いと言われるぐら
い。フレームの外の現実(ほんと)の方が強い存在感
を持つ。むしろフレーム自体が真実(まこと)を語り
うるのではないか。フレームの内と外との対話を試み
る。本のあとがきにも異変があって、自らが本文を批
判したりして、在り来たりの謝辞とは随分変わってき
た。これも一種のメイキングなのでしょうか。それが
本文の内容にもリアリティを与えることになる。嘘の
世界をまことの世界にしていくために、映画作りを続
けていきたい」語った。
 作家で夫人が尾道出身の選考委員、藤本義一さん
(70)は自分の作家人生を振り返りつつ、「今回の
受賞は自らの入り口にして、賞を踏み越えて、今度
は皆さんの方から『石を投げ返して』ほしい」と受
賞者を激励した。



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