山陽日日新聞ロゴ 2003年10月8日(水)
尾道で自主映画を
「村一番」の食談で熱い思いを語る
 「楓牙」の梅崎雄三監督
  主演の向島町立花出身、槙健さんと
梅崎監督と槙さん
 第16回グルメ海の印象派おのみちの食談で、尾道
で映画を撮りたいという若手の映画監督を囲む会が
5日夜、久保新開の「村一番」で開かれ、自主映画
の梅崎雄三監督(37)が次作を尾道で撮って、尾道
に恩返しをしたいという熱い想いを語った。
 梅崎雄三監督は平成12年8月に、キリン・アー
ト・アワード2000で最優秀作品賞を受賞し、
100万円の賞金と次回作援助金 1000万円を受賞して
いる。
 各種アート作品588点の中から、ジャンルを問
わずに選出されるもの。
 受賞作品の「楓牙」は、99年制作の8ミリフィル
ム撮影、モノクロの106分の映画。
 ストーリーの概要は「乱脈の時代...。二つの国
の間で戦が長期化する中、その一方の国の山奥に
戦を裏から支える者達がいた。
 激しさを増す戦いから民を守る為に生まれた『里
の者』と呼ばれる武装の士達。だが長い戦いは、そ
の終わりを望む者と望まぬ者をつくった。
 戦さを終わらせる為に「和平書」を手に、山を駆
け降りる「風組」と呼ばれる若者達と、それを阻止
すべく後を追う者達。
 皮肉にも、同じ宿命を持つべくして生まれた者達
が、山奥の小さな里を舞台に新たな戦いを始めよう
としていた』という物語。
 受賞後、現在までビッグプロバイダ「@nifty」内
正式コンテンツのオペラで「楓牙」が連載形式で上
映されている。通常は短編作品のみを扱う動画サイ
トだが「楓牙」は面白いということで特別配信をさ
れているという。
 続いて同年11月24日に、TV東京「たけしの
誰でもピカソ」の映像アーティスト・ピカソ大賞で
優勝。
 13年8月、第三回インディーズムーピー・フェ
スティバルで、準グランプリ・男優賞・女優賞を、
493点の応募作の中から観客が選ぶ形で受賞し、
アートのみでなくエンターテイメントとしても高い
評価をうけた。
 キリンアートアワード受賞記念作品で、同年にカ
ラー113分のビデオ作品「INGA」を制作して
いる。
 「キネマ旬報」をはじめ、「美術の窓」など多く
の雑誌でも紹介され、2001時代を変えるのは誰
だ!?の一人にもリストアップされている。
 今年5月ごろから、梅崎作品の主演男優で、向島
町立花出身の槙健さん(37)と2人で、尾道を中心
とした「海賊」の物語の次回作品のためのロケハン
を開始しており、尾道青年会議所の有志らが陰なが
ら支援して、今回の食談ゲストとしてベールを脱い
だ。

尾道で事前に上映会を
 ハリウッドの大作に負けぬ面白さをと


 コーディネーターの黒瀬真利さん(黒瀬建設)が、
梅崎監督は「蒼い太陽と三人の海賊」というエンタ
ーテイメント作品を17年夏に撮影予定であると紹
介。
 梅崎さんが自主映画について語り、尾道人が理解
している大林映画などとは異なる点を強調し理解を
求めた。さらに、アニメ作品を地道に積み上げ「千
と千尋の神隠し」で興業収入100億円超の宮崎駿
監督の例を話し、日本映画ではつくれなくなったハ
リウッドの大作にも負けない面白いエンターテイメ
ントを自分の自主映画でっくりたい、自主映画だか
らこそ出来ると話した。
 亀田市長はじめ、福井弘副会頭、住田哲博向島町
議、テゴー座の水尾仲昭さんらに混じって、岡山か
ら1年前に尾道に移り住んでいる尾道(映画)好き
の青年ら出席者が一人一人、熱心に梅崎さんに質問
し、ロケが始まるまでには「ぜひ一度、しまなみ交
流館で『楓牙』の上映を..」と盛り上がった。
 梅崎さんは、大林監督の映画を観て、若い頃にロ
ケ地巡りもした。自分の(映画)人生で、大林監督
の影響を受けたかと訊かれれぱ、そういう道も通っ
てきているが、なんにしても尾道で映画を撮るとい
うことになれば、大林監督以来、初めて尾道で映画
を撮った人間に自分がなることだけは確かである−
との認識を語った。
 自主映画・インターネットの世界から「1800円の
入場料を払って、映画館で多くの人に観てもらえる
作品を、尾道の地で撮り、お世話になった尾道の皆
さんに、それでご恩返しをすることが出来れば...。
今日のこの会は自分では大きな借りが出来たと思っ
ています」と若者らしい素直な語り目に、市長はじ
め出席者は「ガンバッテ。応援しますから」と心か
らエールを送っていた。
「楓牙(ふうが)」
@Niftyで予告編が見られます→

こちらに紹介記事もあります→

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