山陽日日新聞ロゴ 2003年7月13日(日)
『東京物語』
1953年当時の本紙記事から(5)・・終
 8日遅れて尾道松竹で
  11日公開、心血注いだ珠玉の名篇
当時の映画案内広告
 映画『東京物語』の全国一斉公開の日は、1953(昭和28)
年11月3日、文化の日(明治節)だった。尾道では、8日遅れて
11日から17日まで尾道松竹で、佐野周二主演の『早稲田大学』と
の同時上映で公開された。当時は映画の全盛期、尾道にも9館の
映画館が軒を連ね、一週間ごとに新作が入れ替っていくぐらいた
くさんの作品が誕生していた。
 公開に合わせて、本紙では次のような作品解説評(執筆者は不
明)を掲載、広告も連日出ている(=写真)。

[見出し]尾道でロケした...東京物語 映画紹介

[本文]一年一作に精魂を傾け、香り高い名作を発表する巨匠小
津安二郎監督が昨秋の「お茶漬の味」以来一年ぶりに製作した待
望の超特作品。
 中国地方の小都尾道に住む老夫婦が、老後の思い出に東京にい
る子供を訪ねることに端を発して、親と成人した子供たちの愛情
の機微を小津監督一流のしみじみとした枯淡の筆致を以て描くも
ので、脚本は「晩春」「麦秋」「お茶漬の味」と同じく小津監督
自身と、多年の名コンビを謳われる野田高梧の共同により構想、
執筆、推こうと実に七ケ月の日子を費し、台詞の一字一句にも文
字通り心血を注いだ珠玉の名篇である。撮影開始前ニケ月間に亘
って尾道、大阪、熱海、東京に綿密なロケハンを行い、又衣装、
小道具調べにも小津監督持前の細心な注意を払って準備に慎重を
期した。
 撮影で常に小津監督のよき女房役をつとめている名キャメラマ
ンの厚田雄春、美術は浜田辰雄、音楽は新進作曲家の斉藤高順、
照明は高下逸男、録音は妹尾芳三郎、製作はこれ又小津監督と名
コンビの山本武が担当している。出演者は、笠智衆、東山千栄子
(俳優座)、原節子、山村聴、杉村春子(文学座)、三宅邦子、
十朱久雄、東野英治郎(俳優座)、大坂志郎、高橋豊子、中村伸
郎(文学座)、長岡輝子(文学座)、楼むつ子等、映画新劇のヴ
ェテランの競演に加えて、香川京子が小津作品初出演をし、その
他、名子役村瀬禪と毛利充宏、又安部徹、三谷幸子、阿南純子の
小津作品への抜擢初出演があり、この適役揃いの多彩なキャステ
ィングには、興味津々たるものがある。(十一日より「早稲田大
学」同時上映、尾道松竹)

転載責任者メモ:楽しい特集でしたね。本にまとめて書かれていると、
        まとまっていて資料としては良いのですが、このような
        新聞記事のまま読むとライブ感が楽しいものです。


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