山陽日日新聞ロゴ 2003年5月9日(金)
千光寺公園は満開に
 除虫菊生みの親を顕彰
  金鳥の創業者、上山英一郎氏
祭典の様子
 かつて蚊取り線香や殺虫剤の原料として瀬戸内の島々で栽培
されていた「除虫菊」の種をアメリカから持ち帰って普及させ
た大阪市西区、大日本除虫菊(金鳥)の創業者、故上山英一郎
氏を祀る祭典が向島町名郷丸、亀森八幡神社(吉原典孝宮司)
で8日午前、行われた。
 絵馬殿に英一郎氏の遺影を飾り、満開の除虫菊や鯛、竹の子
など供えられた祭壇に向い、上山久史・金鳥常務や県除虫菊協
同組合、卸問屋役員ら15人が玉串を奉納、英一郎氏の偉業を偲
んだ。
 英一郎氏の古里、和歌山に続いて除虫菊の種を植えたのが113
年前の1890年。蚊取り線香やノミ取り粉など殺虫剤の原料
として農家で栽培され、初夏になると瀬戸内の段々畑は一面、
真っ白なジュータンを敷いたように美しく咲き誇り、戦後まで
季節の風物詩だった。その後化学殺虫剤の開発で除虫菊は使わ
れなくなり、現在は観光用に尾道千光寺公園と因島のわずか2
か所だけに残っている。
 英一郎氏を顕彰するために、まだ存命していた1930年、
亀森八幡内に写真や鏡、日本刀を安置した「除虫菊神社」を建
立。以来毎年、祭典が行われており、今年で73回目となった。
千光寺参道沿いには英一郎氏のレリーフをはめ込んだ「除虫菊
発祥之碑」を建てて、功績を伝承している。
 大日本除虫菊が尾道市に650万円を寄付して再整備した千
光寺公園内の除虫菊畑は、今年も満開の時を迎えている。


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