山陽日日新聞ロゴ 2003年5月7日(水)
「尾道ゆかりの新刊紹介コーナー」
  ひげの梶さん 西国街道を歩こう
表紙 内容
 この欄の初回で取り上げたのは、『週刊日本の街道44号・
山陽道(3)』(講談社)だった。そして今回第3回目は、
「ひげ梶さんと西国街道を歩こう!」(南々社)である。
「道」が続いているのは、「尾の道」ゆえの縁なのだろうか。
 本書は、「ひげ梶さん」こと梶本晃司さん率いる「歴史探
歩会」が、西国街道(旧山陽道)を広島市の元安橋を拠点に
広島県内を東西に分け、自分の足で街道の旅に出た、という、
記録兼ガイドブックである。
 県内の西国街道の宿場町は、西から、玖波、廿日市、広島、
海田、四日市(西条)、本郷、三原、尾道、今津、神辺であ
り、それをもとに17のコースに振り分けられている。歩き
なれない者の感じでは、気が遠くなりそうだけれど、そこは
無理なく設定されているのでご安心を。朝9時から10時頃の
間にスタートして、午後の4時、5時に到着できるようにな
っている。道中、ひげの梶さんが、見逃しがちな史跡のひと
つひとつを丁寧に説明してゆく。
 が、驚くことに、梶さんは広島の人ではない。神奈川県生
まれで東京都立川市在住である。一体、ナニモノなのだ?と
いう思いで本書を読み進めるうちに、ページは糸崎から尾道
入り。尾道から今津(松永)までのコース(9)だ。尾道の西
国街道は、数々の寺院を左手に見ながら商店街の中を進み、
国道2号を渡り、防地のガードをくぐって北へ歩み、高須方
面へと向かう。その道程だけでもう、ありふれた尾道ガイド
プックでないことが決定づけられる。見開き2ページにわた
って、イラストレーターの蒲田知美さんの丁寧でやわらかい
イラスト地図があり、そこに史跡がたくさん描き込まれてい
る。道祖神?番所跡?一里塚?街道松?恋の水祠?歩かなく
ては決して気づかないモノばかりである。梶さんの解説文は、
その場でお話を聞いているような名調子であり、一緒に歩い
ている感じに浸ってしまう。
 梶さんは、一人でも多くの人たちが歴史の道を訪ねて歩か
なければ、その道は失くなってしまう、と述べている。そう、
尾道の西国街道でもわかるとおり、旧街道は狭いところばか
りで、クルマ社会の現代に置き去りにされてしまっている。
歴史の風化とは、道の風化なのだ。
 本書の発売は4月の終わりで、今現在順調に売れている。
観光客が買っていくのか、市内の人が買っていくのかはわか
らないけれど、この1冊は、尾道の人が手にとるべき本だと
思う。カタイ頭と足をほぐして。そして、ちよっとの想像力
を持って。そういう姿を、きっと梶さんは望んでいるはずだ。
ひげの梶さん 歴史文学探歩シリーズ(3)「ひげの梶さんと
西国街道を歩こう!」(梶本晃司著)南々社

転載責任者メモ:転載時に「(3)」としましたが、紙面では「○」の中に「3」です。
        (丸3は機種依存文字でインターネットで使えないためやむを得ず)

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