山陽日日新聞ロゴ 2003年2月23日(日)
「私は見ました」
 
黙っているのは勿体ない
  7人の高校生のあの姿に感動
 「私は見ました。高校生のあの優しさ。あの美しい光景には
感動しました。最高の美しさと言うか、爽やかさに心を打たれ
ました−」と女性の目撃者から「知っておいて、心にとどめて
いて下さい」と、連絡があった。
 高校生の優しさに負けないほど、心の美しい女性からの連絡
というのは、先月1月29日の夕方の出来事、29日といえば
雪が積もった日のこと。この日は最低気温がマイナス4.5度、
日中の最高気温もマイナス1.9度という、1日中、寒いさむ
い日。夕方には雪が氷となった日だった。
 女性の話によると、私は防地口の東行きバス停に立っていま
した。すると、60歳代から70歳代と思われるお婆ちゃんが
横断歩道を渡って歩道に辿り着いたところ、下水の蓋で滑って
腰を打たれ、立てなくなりました。思わず私が駆け寄り手助け
しようとした、その時です、東高校生の男子7人が駆け寄り起
こそうとしていました。しかし、腰を強打されたのかお婆ちゃ
んは立ち上がれず、冷たい雪と鉄板の上に倒れたままでした。
すると、高校生達は上着やマフラーを取って「お婆ちゃんが冷
えるといけない−」と、お婆ちゃんの体の下に敷いていました。
 機転と機敏の高校生。「早よう救急車を呼んであげにゃいけ
まあーが」と、1人の高校生が声をあげると「もう僕が携帯で
連絡した、消防の人が、雪が凍結しているため遅くなることも
ある。一緒にいてあげて救急車が着いたら、ここだと合図を頼
むと言われた−」と、言っていました。側に先生と思われる人
がいて、後は任せて早く帰れというようなことを言われていま
したが、高校生は、救急車がくるまで居ると言っていました。
 救急車が到着して搬送され、私も一安心しました。ジーッと
見ているだけの私でしたが、7人の高校生に心を打たれました。
何という感動でしょう。お婆ちゃんの倒れている下に服を脱ぎ、
首のマフラーを取って敷いてあげる、あの心には涙が出そうな
程、美しい光景でした。テレビでは高校生による醜い事件も多
い。何かと「今ごろの高校生は」とか言われているが、あの時
の7人の高校生の姿は私はとっても嬉しかったです。高校生達
のお父さんやお母さん方の育て方が大変素晴らしいと想像。私
1人の目撃で黙って終わらせるのは惜しく、つい連絡しました
−−というもの。1人の心にとどめて置くのは勿体ない話。

転載責任者メモ:本当にホッとする話。"住民が観光客に親切"な事で
        有名な尾道ですが、若い人にもそういう気持ちが育って
        いるのが嬉しい。"悪い子"の行為は、数人集まると
        余計に増幅する傾向がありますが、良い行為も増幅する
        のかもしれません。そして悪い行為に負けない力を持つ。
        捨てたもんじゃない。

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