山陽日日新聞ロゴ 2002年11月26日(火)
世界で初の実験
製作考案者の竹村真一氏が熱く語る
 
電話の発明にも負けぬと
  
会議所「尾道ケータイ観光ナビ」発表
 
 創立110周年を迎えた日に、尾道商工会議所では記念会員
大会を前に同所で記者会見をし、佐藤忠男会頭から市立美術館
のリニューアル基金に1000万円(同女性会が20周年で100万円)
を尾道市に寄付することと、もう1つ記念事業としての「尾道
ケータイ観光ナビ"どこでも博物館"」を発表した。考案製作者
の竹村真一氏=東北芸術工科大学教授(評論家竹村健一氏子息)=
は「世界で初めての実験。グーテンベルグの印刷機や電話の発
明にも匹敵する革命的なこと」と自負していると、同事業の普
遍性、可能性まで夢を語った。
 佐藤会頭は「日本で初めてだけでなく世界で初めてのシステ
ム。竹村さんは母親が向東の歌の出身であり、それだけ尾道に
対する愛情が深い」と紹介した。
 竹村真一・東北芸術工科大教授は「母親に手を引かれてフェ
リーに乗ったことが懐かしい。尾道は市長以下皆さん文化芸術
に力を入れ、その固まりのような町。そのことを十二分に認識
した上で、この点在する資源を新しくプロデュースする方法は
ないか。町を歩いて感動し再発見しながら、2回目の会合で提
案したのが今回の事業である」と説明し、次の通り話した。
 見知らぬ町で観光客がふと出会ったもの。名前もわからなけ
れば場所も分からない。ガイドブックもない。そういう人にと
って、目印の石のふくろう(アイコン)の番号を自分の携帯に
ピッピッと入力するだけで、たとえば「酢瓶小道」とか「千光
寺新道」のことがその場で分かる。
 それも通り一遍の説明だけでなく、個別情報や「自己中(心)
マップ」があり、そこの場所からのトイレや食事や地図など、
いくらでも情報が得られる。
 さらに▼(<ハート)マークの「気持ちの通貨」と呼ぶもの
をクリックすると、自分の感想や思いなどを逆に伝え残すこと
もできる。この書き込みが増えると、行政や町の人も観光客が
どう思っているのかをよく知ることが可能になる。
 井戸、小路、石、水、映画から文化全般まで、情報の中身に
ついては行政、尾道大学の学生の視点で製作している。
 あらゆるものに立て看板、説明板を設置するのではなく、こ
れなら全てに「見えない立て看板」を置くことになる。
 また「空中美術館」と表現しているが、その場所やその場所
から描いた画家の絵も見れる。
 そして、立て看板は1度設置したらそれまでだが、これなら
情報の更新が自由で、景観も破壊せず、容量も無限。おまけに
「タイル小路」のような書き込みまで出来る(従来型の一方的
タレ流しではない双方向性)。
 日本は伝統的に「歌枕」といって、天の橋立なら天の橋立で
そこに行くと人は歌に詠まれたものを思い出していた。下世話
にいうと、犬のオシッコと同じで、クンクン臭うと他人の思い
まで伝わってくる。
 地元の人の「とっておきの情報」なども入れて、町全体を博
物館にして、情報を顔が見えるもの、顔のあるものにしていけ
る。
 アイコンの「石のふくろう」は知恵や情報をもたらす神様を
シンボライズしたもの。小さなものから高さ30cm、重さ30kgま
で色々。当初は100個ぐらい。3月末には500個ぐらいに
ふやしたい。
 12月から試験運用、公開実験し来年3月までにはとりあえ
ず、0.8から0.9バージョンぐらいの完成度にしたい。
 情報、もの、場所が別々では余り意味がない(現在の社会を
指す)。私は『現場現物主義』であり、そのコンセプトを具現
化したもの。
 人類学、人間学が本業だが、環境や情報を考える上で人間の
在り方について、側面的に評論家としてでなく実践、アプロー
チするというのが私流。
 グーテンベルグや電話の発明にも負けぬ新しい試み、革命で
あると自負していると述べた。
 さらに、質問に答え「グルメ情報や個店、個の商品情報につ
いては私の権限外だが、もちろんそういう情報も入れることも
(将来的に)可能である」と、その普遍性や将来性についても
肯定した。
 実社会で「人間の在り方」について考える時に「顔が見える
社会」=正直者がバカをみない社会=が竹村さんの基本理念で
あるところが最もスゴいといえる。
 『まち全体が語りだす』
   竹村氏製作の説明を紹介

どこでも博物館って?

 尾道は、まち全体が博物館のようなところ。数々の観光名所
はもとより、ちょっとした坂道や名もない路地にも、いっぱい
物語が詰まっている。それなら、本当にまち全体を生きた博物
館にしてしまおう!という計画です。
 たとえば街を歩いていて「あれ、ここはどこだろう?」「不
思議な坂道だな?」と思ったら、その付近にいる石のふくろう
のアイコンの番号をあなたのケータイ(携帯電話)にピッと打
ち込んでみて下さい。
 それだけで、その場所の観光情報やまちの記憶を自由に引き
出すことができます。
具体的には?
 たとえば歌舞伎や美術館などで、イヤホンガイドを聴きなが
ら見ると、よく理解できることがありますね。あれと同じで、
それぞれの場所の記憶や物語が、あなたのケータイを通して聴
こえてくる(読むことができる)という仕掛けなのです。
 まち全体が生きた博物館のように語りだす!尾道というまち
の隠れた魅力をもっと伝えたい!?それを可能にするのが、この
モバイル時代の新しい観光ナビ・システム「どこでも博物館」
なのです。
従来では出来ないこと
 もちろん、それぞれの場所に立て看板をたてて、諸々の解説
や周辺地図を掲示することも出来ます。でも、看板ではスペー
スや情報量に限りがありますし、至るところに看板を立ててい
たら、それこそ景観を損ねてしまいます。
 物理的な景観はそのままに、まち全体を生きた歴史の博物館
に変え、それぞれの場所の隠れた情報を、”必要なときに、必
要なところで”誰にでも簡単にひもとけるようにする。
 それが、この携帯ナビ・システムの狙いなのです。
 さらに、固定的な看板や紙媒体の観光ガイドと違って、毎日
新たな情報をインターネットを通じて追加・更新できるので、
つねに活きのよい「旬」の情報を提供できることも、携帯電話
を使うメリットです。
 また、地元の人もとっておきの「場所の記憶」を自由に付加
したり(暗黙知としての街の記憶の発掘)、観光客も旅の印象
や疑問などを、自分のケータイから書き置きしていくこともで
きます。
 気持ちの通貨掲示板..(地元と観光客の対話の回路)
 このように、情報が生きて働いていること、情報に『顔』が
あること(属人性/属地性)、そして情報が固定的で一方通行
な「看板」ではなく、インタラクティブ(双方向)に情報がや
りとりされる「掲示板」のようなシステムであること。
 携帯電話は、そうしたダイナミックな情報の交差点をつくる、
「見えない看板・掲示板システム」なのです。
なお、使い方については4面にも掲載します。
説明


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