山陽日日新聞ロゴ 2002年8月13日(日) 町を守る
旬を大切にする「旬亭」の細谷弘さん
 お金ではない 自己満足を価値観に
  『町を守る』に共感。観光リピーターも
旬亭主人
 『お金』(経済と言い換える人もあるが)だけを絶対的かつ唯
一の価値観にしてきた日本がバブル崩壊後10数年がたっても今
なお新しい価値観を見つけることが出来ず、不況という名のドロ
沼であえいでいる。旬亭という店に行くと、帰る時に人は必ず
「お金以外の価値観に気づかされる」のではなかろうか。21世
紀の尾道という町を必ず守ってくれる若者がここにもいる。
 5年前の夏、久保新開の入口にあたる永尾町にビストロ旬亭が
誕生した。料理人(オーナー)の名は細谷弘さん。
 福山で修行しながら、店を出すのは地元の尾道、大好きな尾道
でと26、7才のころから独立のチャンスを待った。
 ビストロとは、フランス料理の一品料理店。オードブルとメイ
ンディッシュの2皿がビストロの定番だが、旬亭は量ではなく品
数で楽しませてくれる。
 カウンターには「箸」が並べられ、高齢社会にもピッタリのお
店。尾道の『旬』を日本料理ではなく、フレンチでも味わって欲
しいという気楽で気軽なお店なのだ。
 ・・この安さにはビックリしますが、その理由は?
 細谷=料理が大好きなんです。お金は欲しいですが、それより
も自己満足を大切にしています。
 ・・旬亭という名前が良いですネ。
 細谷=旬の食材をというのは料理の基本ですから。
 ・・ビストロを分かりやすく?
 細谷=レストランとコーヒーハウスの中間ですが、それよりも
料理ではキモ、テリーヌ、スモーク、煮込みを大事にするのがビ
ストロの特徴です。
 ・・自慢の一品は>
 細谷=ウチに来られると必ずコレという人が多いのは「チキン
のコンフィ」。鳥を半日塩づけにし、低温の油で4時間かけて煮
ます。鳥の水分(旨み)が油でにげないので、とてもジューシー
で美味しいんです。カモをしても美味しいんですがね。
 ・・尾道ではどんな所が好きですが?
 細谷=のんびりしていて、どこに居ても自分の庭にいるような
気がして落ち着く。
 ・・料理を出していて、一番喜びを感じる時は?
 細谷=フランス料理にも、ちゃんとした理論があるんですが、
日本料理とは違う食文化の違いを分かってもらえる時。和食のシ
ンプルさとはまた違う表現法があるんです。
 ・・常連客はどれぐらいですか?
 細谷=7割ぐらいが常連。映画資料館が出来て観光客の割合が
だんだん増えてきました。それに三原や福山の方も結構、来てい
ただいています。
 ・・観光客のこの店のリピーターもできましたか?
 細谷=ええ、東京からとか京都の人とか、尾道に来たらウチへ
寄ってもらっています。
 ・・「常連」がお店を悪くする、つぶすというのが私の持論
(もちろん、好い常連客もいるが)なのですが、言っている意味
が分かりますか?
 細谷=オープン当時には、それで悩んだこともありました。し
かし、自分の信念を貫いて、自分のやり方でやってきたことがよ
かったと今は思っています。
 ・・こんなお店が海の見える場所にあったらいいのにと大昔か
ら思っていましたが、ここで頑張って、もうひと踏ん張りしたい
という気持ちは持っていますか?
 細谷=それは、出来ればそうしたいという意欲は持っています。
 ・・この連載のタイトルを『町を守る』としましたが、これを
どう思いますか?
 細谷=最初に記事を読んだ時、町を守るとはそういうことなん
だ。自分も頑張らなければいけないと共感しました。
 ・・尾道には「食材」はあるのに『食文化』がないと厳しい意
見もあります。この店には、そういう批判に耐えられる食文化が
あると思いますので、もうワンステップできるよう頑張って下さ
い。
 月曜定休日。ランチタイムあり。1200円。スパゲティ、オ
ードブルは2品(魚料理ともう1品)とバケット(パン)、デザ
ートとコーヒーか紅茶。夜は2000円か3000円のコース。
2000円のコースがオードブル盛り合わせとスパゲティ、メイ
ンディッシュ(肉か魚)、バケット。女性とか高齢者なら、十分
なボリュームがある。5000円コースは要予約(2〜3日前)。
(2004年移転し、定休日、料金体系など変わっています。
詳しくはこちら


ある日のランチタイムコースのデザートでも
ここまで手が掛かっていた



海岸通りを尾道市役所前まで行き、
おのみち映画資料館の横をまっすぐ入ると
左に見えてくる

写真は旧店舗(2004年長江口近くに移転)


紹介ページ(tabisanpo.com「喫茶店・Cafeの部屋」)

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