山陽日日新聞ロゴ 2002年8月11日(日) 町を守る
小さなケーキ屋「佳扇」の池田さん
 毎月店頭に必ず新商品
  高齢・過疎化の場所で果敢に挑戦
小さなケーキ屋「佳扇」の池田さん
 両親が生まれ故郷の尾道にリタイア・Uターンしたのを機に、
手づくりケーキの店を開店。その場所が、こともあろうにシャッ
ター通りと化した久保本通り。人通りが絶え、超高齢化が進む場
所でのケーキづくりという悪戦苦闘の毎日が続く。人も商品も時
代が失いつつある『輝き』があるのが最大の特徴だ。
 ケーキ屋さんにしては珍しい「佳扇(かせん)」という和風の
店名。人に足を運んでもらって、扇がだんだんと末広がりに広が
っていってほしいという願いで命名して、早や2年8ヶ月の歳月
が流れた。
 大阪でOLをしながら、自分の生きがいのある仕事探しを目指
していた池田さんが見つけた仕事が菓子職人。「それにしても、
こんなに人通りが少ないとは思いませんでしたが、ここにお店を
出したことを後悔はしていません」とキッパリ。その瞳だけは、
開店から今日まで輝きを失っていない。
 ・・何年かけてお店を軌道に乗せたいですか?
 池田=3年といいたいのですが、5年までには必ず。
 ・・開店以来、毎日試行錯誤の連続だと思いますが?
 池田=最初は洋菓子だけでしたが、お年寄りのお客様が多いの
で、洋菓子に和風を採り入れるように自然になってきました。そ
して若い人にも合うように・・・。
 ・・目標は?
 池田=和風と洋風の組み合わせを生かし、佳扇にしかない一品
を是非、創りたい。そのための試行錯誤の毎日です。
 ・・そのためには?
 池田=尾道をどう表現すればいいのか?。今、尾道の本を借り
て、色んな由来を勉強中なんですが、時間がなくてなかなか進ま
ないんです。
 ・・尾道はお好きですか?
 池田=子どもの頃から、尾道に"帰る"たびに、ゆったりとした
気分になれるので大好きだった。今は仕事のことで、毎日せかせ
かしていますが、早く尾道と同じように「ゆっくり」とした時間
が共有できるようになりたい。
 ・・毎日のように店の前を通っていますが、最近、商品が輝い
ているように見えるんですが?
 池田=そう言って頂けるのが一番嬉しい。6月ごろから、毎月
必ず新しい商品を出すようにしています。
 ・・尾道はリピーターの町。リピーターの「おもてなし」は旬
しかありません。お菓子と旬については?
 池田=私もそう思います。2年ぐらい、季節商品や毎月の商品
(旬)をつくって、それから絞り込みをしてみたい。
 ・・「ものづくり」の喜びは?
 池田=完成した時、そしてお客さんに褒めてもらった時が一番
嬉しい。
 ・・人通りの無い所ですから、色んな仕掛けを始めたのですか?
 池田=「カエル」のイベントも好評でした。今川のお茶屋さん
と一緒に和菓子とお茶のイベントを10日11日にします。若い
人やお年寄りに喜んでもらえるよう「小さなケーキ屋」を色々と
たべて頂ける催しです。
 ・・「小さくてもキラリと光る価値ある町づくり」が尾道市の
コンセプト。この店もケーキも、これにピッタリだと思っていま
す。尾道の人がお土産に持参できるような「一品」を是非、つく
って下さい。期待しています。木曜定休日。

ニュース・メニューへ戻る