山陽日日新聞ロゴ 2002年8月8日(木)町を守る
甘味処「ととあん」の鈴山秀哉さん...(1)
 『いいもの』をちゃんと
  「ちいさくてもキラリ...」の集積を
のれんの前で鈴山さん
 タイトルをはじめは『頑張る』にしようと思った。しかし、こ
の永年の不況下、多くの人がそれなりに頑張っている。次に『暖
簾を創る』と考えた。テーマはその通りだが、暖簾では商売屋に
限定されないか。悩んだ末に、暖簾型の『町を守る』とした。1
人ひとり、1軒1軒の店が頑張ることが、そのまま「尾道という
町を守ること」につながってくる。暖簾も信用しない人だって、
百年続く商売を今から始めれば、それは古い店に負けない『暖簾』
と成り得るのだ。そんなメッセージをシリーズで伝えていきたい。

 老舗の桂馬近くの本通りに、「開古堂」、「道楽」という試行
錯誤を経て、昨年10月に甘味処「ととあん」が開店した。鈴山
秀哉さん(49)と実の妹の石井千賀子さんの兄妹コンビだ。尾道に
住み商店街で商売して25年。JCにも入り商店街の役員も経験
して、鈴山さんはここに辿り着いた。「自分でやるしかない」。
そう『小さな成功例を積み重ねることでした、町は起きない』の
だ。
 ... 「ととあん」を始めた動機は?。
 鈴山=趣味が高じた妹が店を尾道でやりたいと言い出した。お
店探しをしているうちに、こうなった。開古堂と道楽が良い勉強
になった。空き店舗対策は単なるイベントでしかなかったから。
 ... 「目指す」ものは?。
 鈴山=尾道というより、広島県は甘味処が少ない、ない。京都
や鎌倉などには、ちゃんとした店がある。本通りに小さくてもキ
ラリと光る甘味処がある、そんな店になりたい。
 ... 「試行錯誤」の連続では?。
 鈴山=1年は赤字を覚悟の上。メニューを色々と広げているが、
若い人の志向とかも確かめてみたい。原点は「いいもの」をちゃ
んとで、後は高い安いに関係なく、自分も大好きな尾道に来ても
らった人に、満足して帰ってもらえる店になりたい。
 ... 何年後に自分が思っているような店になれるか?。
 鈴山=5年かかるかもしれないが、3年でなんとかしたい。
 ... 自信の一品は?。
 鈴山=ウーム。(色々と言いたいが...)わらびもち。市販のも
のとうちのは違うが、京都の老松よりもあえてやわらかく練り上
げている。商品は全て原材料。原材料にだけはこだわり続けてい
く。
 ... 「尾道に一言」?。
 鈴山=大分県知事ではないが『1店1品』。売り上げよりも絞
り込みで、1店1店がキラリと光る店になったらいいのでは。
 ... モットーというか、今一番言いたいことを一言?。
 鈴山=(しばらく考えて、土堂小の地域学校協議会委員という
立場が今、重いのか)『我慢』ですネ。この地域にはお年寄りが
多い。日本は「三世代同居」が崩れて、我慢が学べなくなってし
まった。ここに全ての原因があるのでは。3人の子供が年老いた
祖父と同居し、『生と死』も含めて『大家族の中で我慢』するこ
とを学んでくれているのでは...。 店も一緒です。我慢しないと
続かない。
 [インタビューを終えて]「三世代同居」も「ものづくり」とい
う、日本や尾道が忘れ、失ったものへの問題意識が明確に開け、
近頃では一番嬉しい取材になった。サァー、次が楽しみだ。

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