山陽日日新聞ロゴ 2002年8月6日(火)
老舗「魚信」
所有権譲渡で閉店の"風聞被害"
 
今まで通り営業します
  大林映画にも登場。貴重な日本旅館
映画「ふたり」のロケ風景 うおのぶ玄関前
 FC(フィルム・コミッション)に本格参入する準備を進めて
いる尾道市で、映画の舞台にもなった老舗の割烹旅館が店を閉じ
るのではないか?と言う事実無根の風聞被害が広がり始めている。
改めて、尾道という『町を守る』ことが問われている問題提起と
もいえる。
 風聞被害に遭っているのは、尾道市久保2丁目の「魚信」。平
成10年の夏の、旧金尾グループの倒産後も、営業権を持ってい
る金尾家が従前通り今日まで営業を続けている。
 ところが、最近になって土地・建物などの所有権が管財人から
買い主に移ったため、「魚信が店を閉じるのではないか?」とい
う噂が広がり始めた。
 さらに、花火の3日夜の営業形態を店の事情で今年に限り従前
と変更したことも、この噂に拍車をかける状況になっている。
 本紙が5日朝、金尾家に照会したところ、関係者から「ご心配
をかけて申し訳ありません。新しい持ち主の方とも、従前通りと
いうことで、これからも魚信として営業していきますので、よろ
しくお願いします」という返事が返ってきた。
 大場や宣彦監督の映画「ふたり」や、同じく「マヌケ先生」の
映画でも「魚信」は登場している。古くは日活映画「憎いあんち
くしょう」(石原裕次郎、浅丘ルリ子主演)のロケも行われた。
尾道らしい日本旅館として、さらに「海が見える(海に面した)
旅館」として、今や尾道だけでなく日本にとっても貴重な価値を
もっている。
 とりわけ、尾道市では映画やテレビドラマ、コマーシャルフィ
ルムなどの誘致と、行政を挙げて協力するFCへの参加を正式に
表明(6月議会で亀田市長)した矢先。
 「魚信の営業に全く心配はいらない」と聞いて、尾道市職員と
して映画に関わってきた花本健治生涯学習課長は「西山本館など
とともに、数少ない古い日本旅館のたたずまいがあるだけに、大
変嬉しい話ですネ」と話していた。
 『町を守る』ということは、単に大小の(乱)開発から(自然)
景観を守るということだけではない。さらに、今は利用価値の無
くなった古いもの(死蔵)をどう守るかということでも無い。
 尾道という古い町を現在に構成している1つひとつのもののう
ち、それが私有権に関わるものではあっても、町として守り抜い
ていかなければならないものがある。
 ここで「私」と「公」の利害が対立する場面が出てくるが、そ
れを調整していくのが『尾道市民の市民意識』と『知恵』であり、
コーディネーターとしての行政の出番になってくるはず。
 金尾家個人の問題では無い、という全市的な観点(日本全体に
共通している)から、あえて報道した。

転載責任者メモ:何でも市が買い取って保存する、というわけには
        いきませんから、「買ってそのまま活かしたい」
        という人との間に入ったりすることが行政に役割に
        なるのでしょうね。
        魚信は関係なくてとにかく良かったです。
        

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