山陽日日新聞ロゴ 2002年4月18日(木)
大林監督作品
 伊勢正三さんの名曲の誕生物語を披露
 「古里に向けて有難う」
   臼杵映画『なごり雪』大分で公開を
舞台挨拶での臼杵市長、監督、伊勢さんとファンにサインする監督ロケ地を歩く大林監督と伊勢正三さん
(続報)テーマは、やはり古里−。大林宣彦監督の21世紀初とな
る臼杵映画『なごり雪』が13日、舞台の大分県臼杵(うすき)市
で公開された。昨年秋のロケーションから半年、この日を待ち兼ね
ていた市民や全国のファンが初日から多く詰め掛け、"古里映画"の
完成を共に祝った。3万5千人の町では、話題が口コミで広がって
おり、前売り券をプラスして、当日券による入場者が予想を超えて
好調、今月末からの大分県内、今秋の全国公開に向けて大きな弾み
となりそうだ。
 臼杵市民会館での上映初日は、大林監督と作品の原案となった名
曲「なごり雪」の作者で、今回監督とコラボレーションした臼杵の
隣町、津久見市出身のミュージシャン伊勢正三さん、後藤國利臼杵
市長が舞台あいさつし、作品の完成報告と古里への思いをそれぞれ
語った。
 大林監督は「なごり雪の唄は、『東京で見る雪はこれが最後ね』
と唄われており、これは東京駅の物語なので、映画も東京で撮らな
くては、とは実は全く思わなかった。伊勢さんは、古里の駅で作ら
れたに違いないと最初から確信していた。未来を夢見る少年は、古
里の自分がその場所にいることが一番の幸せの原点であり、古里の
駅から世界を夢見るもの。伊勢さんの古里を大切に思う心から出来
た作品である」と、唄「なごり雪」との出会いを紹介。
 「臼杵では、古いものを待って残しており、町興しは町守りだと、
やせ我慢を張っている。古里を守って来た御褒美をもらった嬉しさ。
幸せに思っている」と市民を代表して後藤市長があいさつ。
 「勿論詩を書く時は、事実をそのまま書くのではなくて、フィク
ションがあったり、ストーリーを創りながら、完成させるのだが、
一番大切な感性のエキスは、自分自身の体験や記憶や思い出が源に
なっている。なごり雪は東京で書いたものだが、心象風景にはいつ
も、古里の小さな駅が映っていた。一番純粋だった中学時代のぼく
の中には、日豊本線のディーゼルの客車しかなかった。しかも、い
つも東京へ行く上りだった。東京と古里の『距離感』が作った唄だ
ったと言える」と29年前の名曲の誕生物語を伊勢正三さんが披露
した。
 「この映画をひとことで言うと『古里映画』。私にも古里尾道が
ある。どんなに自由な時代になっても、両親と古里だけは自分では
選べない。自分がそこにいるのは、古里のおかげ。親孝行と古里孝
行。なごり雪は青春時代の唄。50歳になった伊勢さん。長い間唄
い継がれ、大人になったからこそ出来る古里孝行もあり、慈しめる
青春もある。大人になった私達が古里に向けて『有難う』を伝える
映画です」と監督が締めくくった。
 県庁所在地の大分県でのプレミア上映・ミニコンサートには、会
場が満席となる1500人が詰め掛け、大成功をおさめた。臼杵で
は、19日まで1日4回、月末からは大分県内の市町村を回り、地
域上映される。


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