山陽日日新聞ロゴ 2002年2月19日(火)
時代を映す『玉蘊』
 池田明子さん「頼山陽と平田玉蘊」に続き
  
今度は鳥取の女性が出版
  「名誉回復」から脚光浴びる存在に
平田玉蘊に関する本
 『平田玉蘊(ぎょくうん)=尾道では「ぎょくおん」と呼ばれて
きたので、今もぎょくおんと言っている』の名誉はなんとか回復し
たい−の一心で、玉蘊とその周辺をライフワークとして研究してき
た、尾道市文化財保護委員入船裕二氏の"執念"が大きく開花しよう
としている。
 その入船さんから本紙に16日、1冊の本が送られてきた。タイ
トルは「女絵師」(文芸社刊、本体価格1000円)。2月15日が発
行日。
 「帯」に「江戸後期の尾道を舞台に、希有な才能を開花させた画
家・平田玉蘊の生涯を綴った歴史小説。練り上げた構成、深い洞察
力に富む心理描写・・神戸女流文学賞作家、懇親の一冊!!」とある。
 作者は新光江(あたらし・みつえ)さん、鳥取市在住、70才。
「花いちもんめ」で第7回神戸女流文学賞を受賞、「風走る」で鳥
取県出版文化賞などを受賞するなど著書多数。
 著者は「女絵師」の「あとがき」で、平田玉蘊との出会いをこう
述べている。
『五年程前になろうか。ある会議の席で広島市在住の作家池田明子
氏より「頼山陽と平田玉蘊」と題する著作をいただいた。これが私
と玉蘊という女流画家を知った最初である。時は文化、文政期。あ
らゆる文化が武士・町人を問わず大きく花開いた時代である。この
時期に活躍し、その希有な才能を開花させた玉蘊に頼山陽はじめ当
時の・文化人をからませ、やがて幕末へとなだれ込んでゆくこの爛
熟の世紀を描きたかった。これはこうした作品である』とある。
 ここにも登場する池田明子さんが「頼山陽と平田玉蘊」を世に問
うたのが平成8年の春。その「帯」に『玉蘊さん、ああ頼山陽の
"いいひと"のことかね。ありゃあ、山陽先生にふられたおなごです
けんのう」−−地元の複雑な反応に抗して著者の玉蘊復権への旅が
始まった。没落した家業の中で、画家として一家を支え、自由に飛
翔した生涯とその時代を活写する』となっていた。
 この2つを読み比べると、池田さんが玉蘊に新しい命を吹き込ん
で世に出して6年。玉蘊の評価は、もうかってのものではないこと
がよく分る。
 入船さんは「今度、平田玉蘊を主人公にした小説を鳥取の女性が
書きました。一味ちがった玉蘊像です。どうぞ、ご覧になってくだ
さい」との"寸評"を寄せている。
 『物語』はこれで終わらない。近々、福山市在のこれまた女性作
家が、第3弾を上梓するとの話がすでに市内の関係者の間に流れて
いる。
 男性に比べて、女性だけが元気な時代。その象徴ともいえる静か
な玉蘊ブームが続いている。
 それは、尾道市民が『あの繁栄した尾道の自信と誇り』を取り戻
す時が今だと示唆しているようで、なんとも興味深いものがある。



ニュース・メニューへ戻る