山陽日日新聞ロゴ 1998年9月19日(土)
県近代化遺産 尾道市編..(9)
石の町ならではの遺産 瑠璃橋 浄土寺 と玉湊橋 西国寺
瑠璃橋と玉湊橋
 東久保町、浄土寺から浄土寺山頂に至る「観音こみち」の入口近
くにある瑠璃橋と西久保町、西国寺の山門手前の生け垣の中程にひ
っそりたたずむ「玉湊橋」。
 瑠璃橋はその昔、防地川の川下にあった芝居小屋偕楽座(久保2
丁目、現共同福祉施設)の前にかかっていた。もとは木の橋だった
が、大正4年、御大典記念に寄付をつのり、翌5年石橋として完成。
その後道路拡張のため解体され、同じく鉄道以南にかかっていた他
の3橋の石材と共に浄土寺境内にあずけられた。このうち新橋の材
料を使い昭和7年、長さ4.25mもある敷石15本を3列に組み合わせ、
幅 3.4m、長さ約13mの石橋を完成させ、橋名を「瑠璃橋」と改め
高さ約 1.3mの親柱に彫り込んだ。
 一方玉湊橋は同じ防地川の鉄道以北にあった玉湊画廊(現高須町)
が寄進したもの。
 全長3.2m、幅1.6m。4本の親柱(高さ55cm)の1本に「玉湊橋」
と刻まれ、親柱をはじめ、敷石、模様入りの欄干をふくめ菱形に削
られ欄干の反り具合、全体のバランスといい、小さいながらもまさ
に石の芸術品といったところ。
 玉湊はもとは宿屋、そして関取を輩出したこともあり、四股名を
屋号にしたとか。江戸末期に屋敷内の庭か防地川に架けたものかわ
からないが、明治中期に西国寺に移設されたものであろう。
 双方とも川沿いから陸にあがったものの、石のまち尾道ならでは
の遺産といえよう。(写真上が瑠璃橋、下が玉湊橋)

転載責任者メモ:防地川。今は防地口という交差点が国道2号線にありますが、
        その下を暗渠になって海へ流れているのだとか。
        「観音のこみち」は浄土寺と海龍寺の間を山に向かう道。
        こみちには小さな仏様が次々現れ、浄土寺山山頂の奥の院へと
        続きます。瑠璃橋は登る前にあるのでお気軽に散策を。

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