山陽日日新聞ロゴ 2001年10月12日(金)
元・英国兵捕虜
 「日本人は親切だった!」と感慨深げ
  56年ぶりに向島訪れる
   収容先の向島紡績や日立造船に
保育園児に囲まれ嬉しそうなアブンズさん
 第2次世界大戦中、東南アジアで日本軍の捕虜となり向島町の収
容所にいた元イギリス兵士が10日午後、約半世紀ぶりに収容所や
働いていた造船所を訪れ、当時の生活に思いを馳せていた。
 ハンガリー、ブダペストで通訳をしている孫娘、キャサリンさん
を伴って56年振りに来向したのはイギリス。ブリストル市在住、
ジョン・アブンズさん(80)。元空軍兵士でインドネシア・ジャワ
島で捕虜となり1943年から終戦の45年の3年間、兼吉、レンガ塀の
ある向島紡績に収容され、日立造船向島工場で船から木炭の荷降ろ
し作業に当たっていた。
 向島紡績では英国や日本の手旗を持った向東町、たんぽぽ保育園
の園児9人らにあたたかい歓迎をうけたアブンズさんは嬉しそうに
建物を見渡し、レンガに手をふれ、「街の様子が当時と一変してい
る。捕虜で来た当初は食料事情はよかったが、段々悪くなり、その
うち肺結核に罹り、69kgあった体重が44kgまで落ちた。しかし
日本の人は親切でした」と感慨深そうに話していた。
 日立造船向島西工場では「木炭の荷をおろしている時、眼鏡が海
に落ちた。日本人の班長がかわりの眼鏡をくれたが度が合わなかっ
た」と当時を振り返り苦笑していた、
 現在はガン撲滅のボランティア活動に取り組んでいる。
 向島町役場を訪れ、杉原町長と懇談、このあと市民グループ、日
英平和交流広島のメンバーらとマキシムで夕食をとり、次の目的地、
広島に向かった。
 向島には英国空軍100人が収容され、終戦までに23人が死亡
した。「和解と巡礼の旅」でこれまでアブンズさんら3人が来向し
ている。
[写真はたんぽぽ保育園児らの歓迎を受け、喜ぶアブンズさん(後
列右)と孫娘のキャサリンさん(後列中)]。


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