山陽日日新聞ロゴ 2001年6月8日(金)
『尾道より』
劉生自筆の絵葉書現存
 「白樺と岸田劉生展」で新たな発見
岸田劉生の自筆葉書
 岸田劉生自筆の「尾道より」の絵葉書が、現存していることが尾道
白樺美術館の調べで判った。「麗子像」で知られる劉生の長女麗子さ
んの著書「父岸田劉生」の中で、この絵葉書のことが書かれており、
現在「白樺と岸田劉生展」を開催中の同館にとっては"歴史的な発見"
となった。
 写生絵の下に「尾の道附近の夕照、曇った空の下だけ得も云わぬ紅
となり美観云わん方なし 海は鏡の如く静かで、不思議に永遠の感が
する」と記してある。
 「父岸田劉生」(中央公論社刊)によると、この絵葉書は昭和3年
8月30日の消印で、ウラル丸の船上から劉生が神戸に住む母に宛て
て出したもの。
 麗子は同じく、この絵葉書の印象について『青インキ一色で描かれ
た海と山のスケッチ、永遠の淋しさを伝えるかのように、すでにイン
キの色もくろずみ、恐ろしいほど美しい』と同書の中で表現している。
 現在、「白樺と岸田劉生展」を開催中の尾道白樺美術館にとって、
劉生と尾道の接点が発見されたことは大きな喜び。
 吉井長三理事長、劉生の孫の岸田夏子清春白樺美術館長(前尾道館
長)らの尽力で、この絵葉書が今も国立近代美術館に所蔵されている
ことが分かり、今月に入ってその写真が尾道白樺美術館に送られてき
た。
 「父岸田劉生」によると、劉生は8月29日に神戸からウラル丸に
乗船、満州(旧)に向かっている。ウラル丸から夕陽に輝く尾道付近
の海を写生して、その下に短い文章を書いた手紙が、父を送ってその
まま神戸の辰彌宅にいた母に宛てて送られたものと解説している。
 島影は向島か?。夕陽の美しい町尾道(瀬戸内海)を短い文章で、
書き尽くしている名文の1つとして、これから生かしていける。
 〜中略〜
 同館では本日掲載の写真を同館に展示し、劉生と尾道との縁を広く
PRすることにしている。
 また売り切れた「父岸田劉生」を近く、同館で再販することにして
いる。 


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