山陽日日新聞ロゴ 2001年3月4日(日)
尾道白樺美術館
 ドイツの"アール・ヌーヴォー"
  県外からも入館者続々
   日本初開催のフォーゲラー展へ
尾道白樺美術館 フォーゲラー展
(続報)久保3丁目、尾道白樺美術館(岸田夏子館長)で現在開か
れている「忘れられた愛と春の画家 ハインリッヒ。フォーゲラー
展」への関心が高く、入館者が増えている。先月21日のオープン
から、すでに500人を超える人が訪れ、先週の土・日には300人
近くが入館した。油彩作品については、日本では初めての展覧会と
あって、駐車場には岡山や山口、大阪、愛媛など県外ナンバーの乗
用車も多くなっている。
 ドイツのアール・ヌーヴォーと言われる美術様式「ユーゲントシ
ュティール」を代表する画家で、日本では白樺派の同人によって早
くから注目され、紹介されていたフォーゲラー(1872〜1942年)。
 同美術館提供の資料によると、『北ドイツに生まれ、20代で都
会を離れてブレーメン近郊の芸術家村ヴォルプスヴェーデに移り住
んだ。絵画の他に版画、挿絵、工芸、家具、建築設計など総合的な
芸術活動を展開。ヴォルプスヴェーデ駅では内装の1つひとつまで
手掛けた。
 北方ドイツの厳格で伝統的な美から飛び立ち、アール・ヌーヴォ
ーの精髄を見事にとらえて甘美で装飾的な作品は、芸術を貫いて流
れるユートピアへの痛切な情熱と共に、同じように理想を追い求め
ていた東洋の若い文学者、芸術家たちの心をつかんだ。白樺の絵は、
創刊間もない文芸雑誌「白樺」の表紙絵として使われ、白樺社主催
の版画展覧会も当時開かれ、銅版画14点が出品された。
 しかし、20世紀の世界大戦や社会状況の変化により、華麗で叙
情性豊かな芸術はリアリズムの世界へ転換、最後はプロレタリアの
運動家としてカザフスタンで孤独な死を迎え、生涯と芸術は長年忘
れられていた』。
 近年ドイツの国民的芸術家として見直され、日本でも紹介される
ことになった。
 「夏の夕べ」(310×175cm)や「メルジーネ」など大作を含めた
油彩画が80点、ガラスの指輪や鏡台、赤い木製ベンチなど工芸品
も40点展示。白樺派の柳宗悦と交わした書簡も特別展示している。
 昨年末にはNHK教育テレビの「新日曜美術館」で特集され、東
京に次ぐ尾道白樺美術館での展覧会が取り上げられたこともあって、
入館者を増やしている。
 会期は11日の日曜日までで、無休。入館料は一般800円、大
学高校生700円、中小学生500円。
 (=写真上の大作は「春」(1897年)。下の作品が「夏の夕べ」
(1905年)で、フォーゲラーが農家を買い取って、自分で改築した
自宅兼アトリエで、他の芸術家仲間と開いた演奏会のようすを描い
た肖像作品)。

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