山陽日日新聞ロゴ 2001年2月21日(水)
東京に続き 今日から尾道で
 白樺派との関わり深く
  独で見直しフォーゲラー展を
「夏の夕べ」
 久保3丁目、尾道白樺美術館で21日から、企画展忘れられた愛
と春の画家「ハインリッヒ・フォーゲラー展」が始まる。3月11日
までで、ドイツ連邦共和国大使館と尾道市、尾道市教委が後援、ル
フトハンザ航空が協力、東京海上火災保険が協賛する。
 ドイツのアールヌーボー「ユーゲントシュティール」を代表し、
現在ドイツで国民的画家として見直されているフォーゲラー(1872
〜1942年)。日本では、白樺派によって早くから注目され、創刊ま
もない文芸雑誌「白樺」の表紙を飾り、白樺社主催で版画展覧会が
1911年に開かれ、銅版画14点を出品するなど、日本特に白樺派と関
わりが深い作家。
 住居兼アトリエに集まり語り合った詩人、画家たちとの親交で生
まれていったフォーゲラーの作品は、絵画に止まらず、工芸やデザ
イン、建築、インテリアまで総合的に華麗に展開され、駅の建築デ
ザインや市庁舎の内装も手掛けている。20世紀の世界大戦、さらに
現実の厳しい社会情勢に合わせて、甘美でロマン的、装飾的だった
作風がリアリズムの世界へと変貌していったという。
 最期はプロレタリアートの運動家としてロシア(カザフスタン)
で孤独に生涯を閉じるため、忘れられた存在になっていた。「白樺」
創刊90周年にあたり油彩、版画、挿絵、原画、工芸品、家具などの
代表作120点を展示して、日本では初めて全貌が分かる回顧展に
なる。東京駅ギャラリーに続く展覧会で、このあと大阪で開かれる。
 「夏の夕べ」(=写真の作品、1905年オスターホルツ行政区芸術
財団蔵)や「メルジーネ(水の精)」(1912年バルケンホフ財団蔵)
「春」(1897年ハウス・イム・シュルー蔵)など大作が注目される。
白樺派の柳宗悦とフォーゲラーの往復書簡なども展示され、「白樺
派の人たちが魅せられた、理想を追い求めユートピアを夢見た芸術
家の世界に触れてもらいたい」と話している。
 入館料は一般800円、大学高校生700円。会期中は無休。

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