山陽日日新聞ロゴ 2000年10月12日(木)
町政施行50周年記念「向島の歴史講座」
 歌島の中世を振り返る
  和泉式部の西金寺、小歌島城址見学
向島の歴史講座
 町制50周年を記念、向島町教育委員会は「歌島(向島)の歴史講座」を
開講、第1回目の『歌島の中世』が10日開かれ、30人が参加。町文化財保
護委員長、吉原照明氏の講演、向東町の西金寺、小歌島城址を訪れ、研修
した。
 歴史講座は鎌倉時代から安土桃山時代までの中世、江戸時代の近世を振
り返り、先人が築いた礎や業績を学ぼうというもので初回は中世。2回目
が近世で11月8日に開かれる。
 はじめに中央公民館で吉原委員長が「歌島(うたのしま)の中世」のテ
ーマで講演。古代の歴史をひもとく埋蔵文化財は向島は塩田の埋め立てや
開墾などで非常に少ない。昭和43年、干汐塚ヶ谷から古墳時代の須恵器が
出土したのがはじめで古くは縄文土器、平安期の土師器、室町期の五輪塔
など出土、その経緯を説明した。
 向島の呼称についてははじめ「和名類聚抄郷名考証」の宇多乃之萬とあ
り、室町時代文明15年(1488年)、臼文書にはじめて向島と記載されている
という。室町期の備後歌島手次目録で小字として残っているのは則延(川
尻)、則長(兼吉)など埋蔵文化財的価値があると語っていた。
 向東町、曹洞宗・西金寺では管幸雄住職が講師になり、平安時代長徳4
年、(998年)、和泉式部が厳島参詣のため西進、暴風がおこり、式部が
観音菩薩に祈ったところ、たちまち風波が静まり古江浦に着き、伽藍を建
て観音像を安置したといういわれや、市重文の釈迦如来像、一木造天部像
など説明があった。
 小歌島城址については文化財保護委員、藤原氏がレクチャー。小歌島城
は南北朝時代明徳2年(1391年)に築城、有名な厳島の戦いで村上水軍の村
上吉充が論功として向島一円をさずかり、小歌島城に村上水軍は40年間、
住んだ。相当古い桜の木があり名所、小歌島の桜花を詠んだ詩歌は沢山残
っているという。
 次回は「向島の近世」と題し、吉原委員長の講演、国の重文・吉原家、
江奥の常夜灯など現地研修をつむ。

ニュース・メニューへ戻る