山陽日日新聞ロゴ 1995年4月5日(水)
保存が課題に
 木造船「呼子丸」大役終える
  『あした』クランクアップ
向島ドックでの「呼子丸」
 2月14日クランクインした大林宣彦監督作品・新尾道三部作の
第2作『あした』(アミューズ、P・S・C、プライド・ワン製作)の
尾道、向島ロケが4日、すべての撮影を終えてクランクアップした。
今後は東京での編集作業に移り、秋の劇場公開をめざす。尾道(向
島)的には、ロケで使われたオープンセットや木造船の保存方法、
行く末が課題になってくる。
 今回のロケで最大のやま場、ストーリー上のクライマックス、木
造船「呼子丸」が死者を乗せて海中から現われ、また去って行くシ
ーンの撮影が、1日夜にあった。「ミニチュアで」との声もあった
が製作担当の飯田康之さんの努力で実現。
 ロケ場所は向島町小歌島、向島ドックの第1号船台。呼子丸は同
町富浜、備後造船で内装を解体しエンジンを削除。水圧抜き用の穴
をデッキや船底に数百個あけて内部を補強、鉄製の台座に接着され
た。それをクレーン2台で吊り上げて、海中から船が姿を現わすと
いう大掛かりな仕掛けとなった。
 両造船所の社員約40人が数日間にわたって全面協力。絶妙なタ
イミングで引き上げるためのクレーン操作、力学応用などベテラン
造船マンの知恵と経験がフルに発揮された。
 再度の撮り直しが困難で、練習なしの1回勝負とあってスタッフ
はみな緊張。海中に沈めた船の正面から、遠近を違えたカメラ3台
で本番。物語通りに夜中の午前0時、ライトに照らされた呼子丸は
じわりと水面に浮上、台座を支えていたロープを切って再度海中に
ゆっくりと姿を消した。所要時間は約3分、大林監督の「OK、あ
りがとう御座いました」の声に拍手と喚声が沸き起こった。
 大林監督以下メインスタッフは5日に帰京、12日ごろまでには
全ての関係者が片付けを終えて引き上げる。

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