山陽日日新聞ロゴ 1995年2月22日(水)
橋本理容店
 
アンティックな雰囲気光る
  "祖父からの店"スクリーンに
ロケで使われる理髪店
 美ノ郷町三成、旧国道184号線沿いにある理容店が、撮影中の
『あした』のロケで使われることが本決まりとなった。
 理容店は1930年の昭和5年、現在の場所に建てられて以来、木造
の外観や内装、設備をほとんど当時のままで残し、知る人ぞ知る
"アンティック理容室"。
 高さが2メートル以上あるアメリカ製の大時計、幅が1.7m
もある大鏡2枚が客を出迎える。戦前、よく見られた自分専用のタ
オル置き棚、40年近くたつ電気バリカン、天井から吊された小物
置きなど、理髪店が地域のコミュニケーションの場だった頃を思い
起こさせる雰囲気が、大林監督はじめスタッフの心をとらえたよう
だ。
 父親の後を継いで、現在ハサミを手にするのは3代目。16才で
理容師になり、神戸で修行して24年前に帰郷。「これはおじいさ
んが作った店だ、という強い思いから、これまで店を新しくしよう
と思ったことは1度もないです」と話す。
 昨年11月に市商工観光課の職員が紹介、合計で8回のロケハン
が繰り返されたという。植木等が演じるヤクザの親分が、呼子浜へ
向う前に立ち寄る店として登場。そして子分たちに生命を狙われる、
という場面展開−。
 橋本さんはロケ協力の話を聞いて快く承諾、しかし、1月初旬に
妻の養子さんが他界、「初めはロケで浮かれるのはどうかな、と複
雑な気持ちだったが、ロケを誰よりも楽しみにしていたのは妻だっ
た。供養のためにも協力させてもらうことにした」と心待ちにする。
 「15年ほど前に、東京から訪ねてきたお客さんから、この古い
ままで使って下さい。きっと映画のスクリーンに出る時が来ますよ、
と言われたことを思い出す」とも話している。

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