山陽日日新聞ロゴ 1995年2月15日(水)
艮神社で祈願祭
 「映画ファンへの恩返し」
  大林作品『あした』3月末めざし撮影開始
記者会見する監督とキャスト
 「阪神大震災で被災された方にとっても希望がもてる映画にした
い」−。聖バレンタインデーで晴天の14日午後、尾道市出身の大
林宣彦監督の新作『あした』(アミューズ、P・S・C、プライド・ワ
ン製作)の尾道・向島ロケが始まった。
 クランクインを、前に午前10時、長江1丁目の茶房「こもん」
を基点にスタッフ、俳優70人が集合。すぐ隣の艮神社に歩いて参
拝、永井宮司から撮影中の安全と作品の無事完成を願ってお祓いを
うけた。
 このあと「こもん」で記者会見、在広テレビと新聞の各社がカメ
ラを構える中、大林監督はじめP・S・C の大林恭子社長、メインキャ
ストの植木等さん、高橋かおりさん、林泰文ん、朱門みず穂さん、
宝生舞さんの5人が勢揃いした。
 大林監督は「クランクインの日は、子供が誕生するようなめでた
い日。故里へのなつかしい思い、故里への愛情を映画で表現できて
うれしい、『転校生』から約15年、未だに映画を尋ねて多くの人
が尾道を訪れている。私の作品はこういった人達、ファンに育てて
もらっている。『あした』を作り、プレゼントすることで恩返しし
たい気持ちです。3年前に赤川次郎さんから、原作の原稿を送って
頂き、これは"映画にして下さい"という私へのラブレターだと思っ
た。尾道は私の故里、そして映画と日本人の故里。今の世の中で、
失われようとしている"人と人のきずな"をテーマに、昨日をいつく
しみ、今日を精一杯生きることで明日も希望をもって生きてゆく、
という映画、故里の大切さに気づいてもらいたい作品です」と語っ
た。
 ベテラン植木等は「大林監督は、尾道への思い入れが大変大きい。
声をかけて頂きありがたい。監督は優しく、人間を愛する心が大き
い。尾道へは5、6年前にテレビドラマで来たことがあり、いつか
尾道で一緒に−という監督との約束が実現できてうれしい」。
 高橋かおりは「昨日尾道に来て、いい街だなあと思った。撮影の
合間を見て尾道巡りもしてみたい」。新人の朱門みず穂は「大好き
な監督と一緒に精一杯頑張ります」。林泰文は「挑戦する気持ちで
演じたい」と抱負。
 オーディション公募で決まった宝生舞は「尾道へは裸一貫でつい
てきた。小さいころのなつかしさが残る街。東京で暮らしていると
忘れてしまったことを思い出させてくれる街。尾道ロケの1か月半
で自分の心の中にある何かを見つけたい」と緊張気味に語った。
 最後に大林監督は「近年日本映画にない"全員主役"の群像劇にな
りそうです」としめくくった。
 昨年夏から、地元スタッフとしてロケハン、準備をしてきた吉田
多美重さんは「いよいよ始まります。スタッフも全員がそろい、何
が何だか分からなくなってきました」と言いながらも、目を輝かせ
ていた。

次へ

ニュース・メニューへ戻る