山陽日日新聞ロゴ 1998年8月1日(土)
 原田町史の1ページに
  『あの、夏の日』梶山田ロケ
ロケを見守っていた清水さんと平田さん 本郷川上流のおだやかな風景の中でロケ
 クランクインから1週間、初めは梅雨空でスケジュールが思うように
進行しなかったが、やっとの夏空で撮影がスピードにのってきた大林宣
彦監督の映画『あの、夏の日』。小川が流れ、昔はどこにでもあった素
朴な雰囲気の空間のロケ場所として選ばれたのが原田町の梶山田地区。
「尾道、広島県内をロケハンで探したが、川という川は護岸されていた」
と監督が語るように、このロケ地選定で苦労したが、同町清水迫を主源
流に松永湾まで流れる本郷川の上流、梶山田に光があてられた。
 梶山田のロケを特に心待ちにしていたのが地元の平田さんと清水さん。
平田さんは元因島市教育長で現在は広島地区現代俳句協会会長、清水さ
んは元尾三地方森林組合長で、2人は2年ほど前から地元原田町の歴史
をひも解いて後世に伝えようと史跡、文化財などを考査、学習を重ねて
いるコンビ。そんななか、『あの、夏の日』の梶山田ロケの話を耳にし
た。「何か役に立ちたいなぁ」と尾道大林映画をてごうする会に入会、
撮影に向けての準備に協力した。
 5月の撮影下見(ロケハン)の時には早苗だった稲も50cmほどに成
育、緑の絨毯が強い陽射しを受け、時折風に揺れる中で、ロケが行われ
た。この地区が映画、テレビなどで登場するのはもちろん初めてのこと。
「こんな風景が映画の舞台になるのかぁ?、と最初は驚きと不思議な気
持ちでした」と平田さん、清水さん。「私らが子供の時には毎日この川
で遊んでいました」と懐かしみながらロケを見学していた。元は原田村
の村役場だった所で、平田さんも住んでいたという古い屋敷の土蔵でも
撮影があった。
 「やっぱりここに自然が多く残っていたということでしょう」と2人。
2年後の2000年を目標に原田町の史誌をつくることにしており、今回の
百周年を記念する映画のロケはそれに貴重な1ページを加えることにな
った。


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